雑誌やテレビのCMでも目にすることがある「複合機」という機械、名前からはどんなことに使う機械かわかりにくいですよね。何となく「いろいろな機能が使える便利な事務機器」なんてイメージを持っているのではないでしょうか。実はこの複合機、そんなざっくりとしたイメージを裏切らないようなとても便利な機械なのです。
「中小企業でも約8割が導入している」という現状に裏付けされたその性能や複合機を選ぶポイント、そしてリース契約について詳しく解説していこうと思います。
まずは複合機がどんな機械なのかを備わっている機能や他の事務機器との違いから紹介していきます。
現在の複合機に備わっている機能は大きく分けると「コピー・印刷機能」「ネットワーク機能」「セキュリティ機能」「オプション機能」「その他の機能」」の5種類です。使用頻度の低い機能が備わっていると逆に操作が煩雑になってしまいます。そのためオフィスへの導入を考えている方は、どんな機能を使用するか思い浮かべながら選ぶのもポイントです。
・1セット2コピー
見開きを2ページに分割してコピーする機能です。
・2色刷り
カラーの原稿を黒ともう1色(レッド・グリーン・ブルーなど6色)でコピーする機能です。
・N-Up印刷
複数のページを1枚の用紙にプリントする機能です。
・カードスキャン
免許証や保険証を1枚の紙に表裏どちらもコピーする機能です。
・サイズ指定変倍
元のサイズと出来上がりの寸法を指定したらそれを元にコピーの倍率を自動で設定して、縮小・拡大をしてくれる機能です。
・リテンション・ドキュメントファイリング
プリントデータを内蔵のハードディスクに保存しておいて、パソコンを使わないでプリントできるようにする機能です。
・移動コピー
既に印刷されている用紙の余白に、他の画像を移動させてプリントする機能です。
・混載原稿対策
大きさの違う原稿が混ざっていても、自動でサイズを判別してそれぞれの大きさでコピーする機能です。
・中綴じ製本機能
複数枚の片面原稿の印刷で、製本されたようにページ順に両面印刷できる機能です。
・白紙飛ばし
原稿に白紙があった場合、飛ばしてコピーする機能です。
・枠消し
重ねた原稿や見開きをコピーをするとき、周りや中央にできてしまう影を消してくれる機能です。
・E-mail送信スキャン
複合機のスキャン機能で読み取ったデータを直接電子メールで送信する機能です。
・PC-fax機能
パソコンにあるデータを複合機からそのままFAX送信することができる複合機におけるFAX機能です。
・pdf変換・メール送信
スキャンして読み取った文章をpdfに変換する機能と、そのpdfファイルをメールで送信する機能です。
・ドキュメントファイリング
複合機でコピーしたり、FAXで送信した内容やスキャンしたデータを内蔵されているハードディスクに保存しておく機能です。
・FAX受信データのネットワーク転送機能
FAXの受信データをネットワーク上のアドレスに自動転送させられる機能です。
・共有フォルダ・デスクトップ送信スキャン
複合機でスキャンしたデータを、共有されている記憶媒体やフォルダに直接保存できる機能です。
・画面確認機能(見てから保存)
1度スキャンした画像を複合機のモニターで確認してから取り込むことができる機能です。
・ドキュメントコントロール
印刷された用紙やファックスで受信した用紙に「ドキュメントコントロールパターン」というデータをはさんで不正利用を防ぐ機能です。
・ミラーリンクキット
ハードディスクが破損してしまった場合、もう1基のハードディスクにデータが保存されて、続けて動かせられる機能です。
・ユーザー・ICカード認証
複合機にユーザー認証を設定して、パスワードやICカードによってログインした人だけが利用できるようにする機能です。
・追跡情報印字プリント
印刷日時やユーザー名などを用紙に印字させることによって情報の追跡が可能になる機能です。
・ウォーターマーク・イメージスタンプ
すかしや画像を重ねて印刷できる機能です。
・ステープル
仕分けした印刷物のホッチキス止めを、複合機が行ってくれる機能です。
・地紋印字コピー・プリント
大切な書類がコピーされた際に、牽制文字(コピー禁止など)が浮かび上がり、不正コピーを抑制する機能です。
・エコ学習機能
一定期間の使用状況を自己分析して、自動で電源管理をしてくれる機能です。
・USBメモリスキャン
USBメモリに複合機でスキャンしたデータを直接取り込む機能です。
コピー機やプリンターはそれぞれ「コピー」と「プリント」という1つの用途に特化した事務機器です。複合機はその2つの機能と共に「FAX」「スキャナー」などの機能が文字通り複合された事務機器なのです。よく複合機のことを「コピー機」や「プリンター」とも呼びますが、これは複合機がどちらの機能も備えているからなのでしょう。
複合機にはさまざまな機能が備わっていることはわかってもらえたかと思います。ではどの複合機を選べばよいのでしょうか?ここからは、複合機の選び方や選ぶ際にどこを比べたらいいかについて解説していきます。
前述したように数多くの機能を備えている複合機ですが、「使ってみないとどの機能が必要かわからない」なんて思っている方もいるでしょう。そんなとき1番重要になってくるのは「印刷速度」です。複合機の種類によって印刷のスピードが違ってくるのです。1日にどれだけの枚数を印刷するか算出してみることが、複合機選びに影響してきます。
普通紙とは主にコピー用紙の中でも「非加工用紙」という種類のものを差します。コピー用紙の中にも古紙をリサイクルして作られた「再生紙」やパルプ100%でできている「上質紙」があり、相手や用途によって使い分けることができます。そして感熱紙とは紙の表面に特殊な薬品の塗られている紙のことです。
熱を感知することによって化学反応を起こし、色が変わって印字される仕組みです。インクが不要でプリンター部分を小型化することができるので、お店のレジ、券売機や医療器具などに用いられています。感熱紙は普通に比べてかなりお手頃で、熱に反応して印刷が行われるのでインク代がかからず、維持費が安くコストが抑えられるのが利点です。
しかし感熱紙は湿気や油分、日光に弱く、変色したり書き込めなくなってしまうので、長期の保管には向いていません。そして使用にも期限があり、長期間使用しないで放置していると黄色く変色してしまい印刷した文字が薄くなってしまいます。印刷用紙にもそれぞれ特徴があるので、複合機の用途に合わせて購入しましょう。
1つしかない複合機が壊れてしまうと、業務に大きな支障をきたしてしまうかもしれません。特に複合機の場合はいろいろな作業を一手に引き受けているので、故障してしまうと仕事になりません。そんなことにならないようにサブ機を用意しておくといいでしょう。
業務効率を上げるためにもサブ機は大切です。例えば社員が15人の会社で複合機が1台しかないと、印刷に時間がかかってしまうこともあるでしょう。そこでサブ機を5人に1台ずつ用意します。すると印刷の渋滞も減少して業務効率が上がります。一般的にサブ機はメインで使う複合機より小さめで、金額も抑えられるA4サイズの複合機が好まれています。
では、ここからはオフィスに複合機を導入する方法の1つ「リース契約」について解説していきます。一言にリース契約と言っても複合機の種類や契約の種類があります。そのため、複合機のリース契約の仕組みについて知っておきましょう。
複合機のリースの相場は、印刷速度やカウンター料金(1枚印刷する毎にかかる料金)によってかわってきます。また、リース料金の価格帯によってリースできる機器の性能が変化します。一般的に支払われている費用の相場と機器の機能を以下の通りにまとめました。複合機を導入する際にある程度相場を知っておくことで、見通しが立てやすくなるでしょう。
・リース料金 月額5000円以下
必要最低限の性能の複合機や、オプションの付いていないものが多くあります。また、モノクロ印刷専用だったり、プリンターやスキャナーの機能が搭載されていなかったりすることもあります。
・リース料金 月額5000円~10000円程
中小企業のオフィスに導入されるような複合機の価格帯です。よく使われるオプションを満遍なく備えています。
・リース料金 月額10000円~20000円程
複合機の利用頻度の高い塾や不動産業のオフィスで利用されるような複合機の価格帯です。印刷速度が通常より早いものが多くあります。
・リース料金 月額20000円以上
ハイスペックな複合機が揃っている価格帯です。他の価格帯の複合機では対応していないA2サイズの印刷やセキュリティ対策のオプションを追加されているとこの価格帯になる場合もあります。料金の他にも複合機のリース契約にはさまざまな種類があります。多く利用されているリース契約は「ファイナンシャルリース」と「オペレーティングリース」というものです。
・所有権移転外ファイナンシャルリース
リース契約が満了したら複合機をリース会社に返却する契約です。複合機は契約満了後に別機種に入れ替えることが多いのでこの方法が用いられることが特に多いです。
・所得権移転ファイナンシャルリース
リース契約が満了したら複合機の所有権がリースを受けていた会社に移る契約です。契約満了後もそのまま使い続けられる契約方法です。
リース契約が満了して返却された複合機をリース会社が売却するか、もう1度リースに使用される契約です。中古価格を差し引いてリース料金を算出するため、借り手は安くリース契約をすることができます。他にもリース会社によって異なる契約方法がありますが、複合機のリース契はファイナンシャルリースが一般的です。機器の導入用途や、会社の状況などをしっかり把握して契約を結びましょう。
リース会社や契約によって料金はさまざまです。自分だけではどの複合機をどんな契約で導入すればいいかわからなくなってしまうのも仕方ありません。そんなときは業者に連絡して見積りを取ってもらいましょう。そうすれば、あなたのオフィスにピッタリな複合機が見つかると思います。
複合機はオフィスでの仕事を効率よく進めるために必要な業務機器です。現在は多種多様な機能やデザイン、そして価格設定の複合機があります。どんな機能が必要か、どれぐらいの大きさなら邪魔にならないかなどしっかりと考えてみましょう。また、複合機を導入するにはリース契約という選択もあります。
リース会社や複合機の性能によって料金が全然違うので、複数の会社で比べてみることが大切です。また、リース契約の見積りを業者に依頼することも選択に入れておくと、損をしない複合機の導入を行えるのではないでしょうか?